旅行記〜栃木&東京②〜

「死ぬまでに一度は見ておかないと」

この言葉に何度焦燥を掻き立てられたか分からない。
自身の感性を置き去りにした何とも貧乏くさい衝動。
でも多くの人たちの感動に裏打ちされているのだから、良く分からない自分のこだわりなんかよりよっぽど信用できる。

日光についての前知識はほぼない。
脳内検索エンジン(bing)(誰がbingや)に日光を入力しても、検索関連ワードは「水戸黄門」「猿」「お年寄り」「修学旅行 つまらん」ぐらいしか浮かばない。ごめんね、義務業育。
でも東照宮が大がかりな修繕を終えたことだけは知っていた。ありがとう、俺たちのブラタモリ
とにかく江戸幕府の栄華が栃木の山奥にぶちこまれているのだ。

昨日の大雪の影響で鉄道のダイヤは乱世に突入していた。
乗り継ぎはスムーズに行えたが、そこから待てど暮らせど列車が動かない。ホットレモンをこぼしてしまい手がべとべとする。前の席の中国人旅行客の声がやたらにでかい。車掌さんのアナウンスに気持ちがこもっていない。こめる必要なんてない。ダイヤの乱れは心の乱れ。いらいら。

こんな日に思いつきで日光に行こうとしている自分が全部悪いのに。

この時点で時計の針はてっぺんを指していた。
今すぐ列車が動いても駅に到着するのは15時前になってしまう。
まずは宿を確保しなくてはならない。「日光 宿」検索。
Googleはいつだって生活に寄り添ってくれる。
程なくして日光から電車で15分程の鬼怒川温泉街の宿のブッキングに成功、しかも福利厚生のお力でかなりお手頃価格。

 

一気に頭の血流が良くなるのが分かった。

自分の機嫌は自分で直すのだ。